これを読んでいるあなたは、Webデザインの経験が無いのに
「会社の広報チラシを作ってくれ!」
「なんかオシャレなバナーを作ってよ〜」
なんて言われていたり、
「個人経営だから全部自分で作らないといけない…」
みたいな状況かもしれません。
「デザインセンスが無い自分には無理だ」と、悲観に暮れていますか?
そんなあなたに朗報。
デザインセンス、そんなもの無くてもWebデザインは上達します。
その秘密というか秘訣について、解説していきましょう〜
「デザインセンス」とは何か
まずもって
「デザインセンス」
って何でしょうね?
デザインが上手な人のことを、一般的には「デザインセンスがある」なんて言い方をするんだと思います。
ところがどっこい(古)、それは大きな誤解です。
おそらく僕自身を含め、多くのWebデザイナーは自分のことを「センスがある」なんて思ってないと思います。(…ですよね?ね?)
謙遜とかそういうことではなく、本質的に、です。
なぜならデザインとは、「センス」なんて曖昧な言葉で片付けられるような世界ではなく、もっと機械的でロジカルな世界だから。
ここがこうだから、あーして、こーして、こうなって…
てなことをWebデザイナーはあれこれ考えながら、デザイン制作をしています。
設計図を書いて、それに沿って部品を組み立てて、ちゃんと機能するようにデザインを考えます。
つまり、デザインは「なぜそのデザインなのか」を基本的に全て論理的に説明可能なんです。
決して頭の中から降って沸いたイメージを形にしているわけではないんです。
だからセンスなんてものに最初から頼ってないんですね。
Webデザイナーにデザイン制作を依頼して、「なんでこのデザインにしたんですか?」って質問したら
「なんとなくです!(ドヤァ)」
みたいな回答が返ってきたら、大丈夫かコイツ…?となりますよね。。
「絵が上手な人」はデザインも上手なのか?
はい。
では、ついでにもう1つ誤解を解いておきましょう。
「絵が上手いなら、デザインも上手いだろう」みたいに考える人がいるようですが。
これは全く親和性が無いわけではありませんが、本質的に絵が上手いこととWebデザインが上手いことは繋がりがありません。
なぜなら絵とデザインは全く世界(文脈)が異なるからです。
絵とは芸術の世界であり、芸術とは自己表現です。
対してWebデザインはビジネスの世界であり、個人の内面は関係ありません。
ビジネス上の課題を解決するための手段としてWebデザインは存在しているのです。
絵が上手なら、Webデザインも確かに見た目はそれっぽく上手なものができるかもしれない。
でもそれをビジネスの文脈で見た時に、目的を達成できなければ意味がありません。
見た目が上手なだけでは、デザイン失格です。
つまり「絵の上手さ」と「デザインの上手さ」は全く異なるのです。
「デザインセンス」の正体
では、デザインセンスとは何なのでしょうか。
この曖昧模糊とした言葉の定義は人それぞれになるかもしれませんが、僕はこのように解釈しています。
「デザイナーがデザイン制作する際の思考プロセスを一括りにして便宜的に言語化したもの」
と。
先ほど、Webデザインはロジックで制作されるという話をしましたが、デザインは科学に基づいています。
Webデザイナーは科学的なプロセスを経てデザイン制作を行なっています。
ただ、周りからはその科学的なプロセスが見えない。
そしてデザイナー自身も、経験を積むほどそのプロセスが感覚的に処理されていくようになるので、説明できなくなっていく。
「歩く」ことは無意識にできることですが、それを科学的なプロセスで説明するのってめっちゃ難しいですよね。それと同じ。
なので科学ではなく感覚的なものとして「センス」と呼ばれるようになった、と考察しています。
まぁこれは、ちゃんとそれを説明しないデザイナー側にも問題があると思いますが…。
ところで、僕はセンスという言葉自体がキライです。笑
だって、よくわからないものをセンスという言葉でくくって、フタをしてるだけに見えるんだもん。
なんかセンスって、持って生まれた先天的な才能みたいな言い回しですよね。
それはもはや努力とかでどうこうなるモノではなく、
「あの人はセンスがあるよね」
という言葉の裏には、「自分にはセンスが無いからできない=努力もしない」という諦めの意思表示が見て取れます。
そうやってただ単に技術や勉強不足なだけであることから目を背けて、「センスが無いから」とセンスのせいにして言い訳してるっぽいなぁと、ぼかぁ思うんですよ。(遠い目)
そらね、スポーツとか芸術の世界ではセンスとしか言いようがないこともあるとは思うけど、なんかそれってズルくない?と思っちゃうんです。
だから僕はセンスという言葉は日常的に意識して使わないようにしてます。
この記事ではあえて使ってますけどねw
はい、余談でした。。
デザインの上達法
じゃあいよいよWebデザインがどうやったら上手くなるのか、という話に入っていきます。
何、話が長いって?
だってしょうがないんですよw
いろいろ大事なことがあるんだもん。
「デザイン」とは何かを理解せよ
さっき、絵が上手いこととデザインが上手いこととは違うっていう話をしましたが。
Webデザインの本質は、ただ綺麗でカッコいいデザインを作ることではありません。
デザインとは、「ある目的を達成するための手段」です。
広告なら認知度向上や集客のため、商品パッケージなら魅力を伝えて買ってもらうため、といったように必ず目的があります。
その目的を達成するためだけにデザインは存在するのです。
なのでその目的を達成するために「カッコよさ」が必要ならカッコいいデザインにするし、必要でないならカッコよくはしないのです。
カッコよさが必要ない場面で無駄にカッコよさを出してしまうと、目的達成の邪魔になってしまうんですね。
「上手いグラフィック」なら誰でも作れる
今や、Webデザインのスキルが全く無い素人でも、AIやデザインツールを使えば簡単にプロと見分けがつかないほどのグラフィックを作ることが可能です。
ふはは、いい時代になったものだ!
と歓喜するか、
もうダメだぁ…、おしまいだぁ…
と悲観に暮れるかはあなた次第ですが。
ただ、これで自分も簡単にWebデザインができるぞおぉ!と喜ぶのは時期尚早です。
なぜなら、デザインは前述の通り、ただグラフィックが上手なだけでは成立しないから。
デザインの目的を把握し、
ビジネスの全体像を理解し、
顧客を知り、
ニーズを知り、
市場を知り、
タイミングを捉え、
適切なデザインを選択し…
といったことをやって初めてデザインが完成します。
いかに見た目が優れていても、グラフィックそれ単体では意味が無いのです。
それらを俯瞰して総合的にデザイン構築できるのがプロのWebデザイナーであり、存在意義なのです。
デザイン制作の手順
とはいえ、プロでなくともWebデザインが必要になる場面はあると思います。
そんな非Webデザイナーがデザインを上達させるために必要なものについて解説していきます。
いきなりプロのWebデザイナーがやっているようなプロセスを踏むことはハードルが高いので、まずここを意識して制作した方がいい、という手順を紹介します。
①目的を理解する
デザイン制作に取り掛かる前に、そのデザインが何のためのデザインなのかをしっかりと把握しましょう。
認知度を高めることが目的なのに、販売を目的としたデザインにしてしまっては思うような結果が得られません。
これって意外とよくあることなので、大前提として漏らさないように注意です。
②リサーチする
デザインの目的がはっきりしたら次にすること。
まだデザイン制作を始めてはいけませんよ。
自分が作ろうとしているデザインで、既に世の中にあるものをいろいろ見てください。
例えば商品販売ページに飛ばすバナー画像を作るのであれば、バナー画像のサンプルをネットで探します。
なぜ既存デザインのリサーチが必要なのかというと、デザインには必ず「お作法」が存在するからです。
このお作法は、業界や業態によって異なります。
これはその業界における一般的なイメージデザインと捉えても大丈夫です。
教育業界には教育業界の、自動車業界には自動車業界の、エンタメ業界にはエンタメ業界のイメージが存在します。
このイメージから外れたデザインにしてしまうと、悪い意味で違和感が生まれ、想定した結果が得られない可能性が高くなります。
最初はリサーチに時間がかかると思いますが、慣れてくると短時間でパパッとできるようになりますよ。
③参考デザインを決める
そして次に、参考にするデザインを決めてください。
特に最初のうちは、必ず参考にするデザインを決めてそれを見ながらデザイン制作してください。
ゼロからデザインを作ろうなんて考えてはいけません。
そんなこと、プロだって難しいですから。
ここで言う「参考にする」というのは「デザインをパクる」というのとは違います。
参考デザインをよく見て、何をどこに配置しているか、どんな配色か、どんな字体か、といったそのデザインの構成要素を参考に自分のデザインを組み立てるというイメージです。
このプロセスを言語化すると
「参考デザインを構成要素に分解し、自分のデザインに再構築する」
です。
ちょっと難しいかもしれませんが、参考デザインがあるか無いかでは雲泥の差が生まれます。
最初は参考デザインに似せるというだけでも構わないので、ぜひやってみてください。
④ツールを利用して制作する
さあ、ここまでやっていよいよデザイン制作に着手です。
制作自体は、パワーポイントでもフォトショップでもイラストレーターでも何でもいいですが、せっかくなら便利なデザインツールを使うのがおすすめです。
CANVAあたりはいいんじゃないでしょうか。
いろんなテンプレートも揃ってますし。
特に経験の浅い人は時間がかかりますから、こうしたツールを使って時短するのも重要です。
実際にデザイン制作する上で必要なこととして、
・センスに頼らない
・好み(主観)を入れない
この2点は常に意識しておくといいでしょう。
経験豊富なデザイナーが、過去の経験則からセンスに頼ることと、昨日今日デザインを始めたばかりの素人が自分の感覚だけでセンスに頼ることとは、全然違いますよね。
また、自分が好きな色とか形、イメージといった個人的な好みは可能な限り排除してください。
必要なのはあなたの好みではなく、そのデザインを見る側がどのように受け取るか、という点です。
なので自分の美的感覚みたいなものは一切アテにしていけません。
⑤人に見てもらう
そしてデザインがいったん出来上がったら、ぜひ他の人に見てもらってください。
その人は別にプロのデザイナーである必要はありません。
この時の注意点としては、ただ「どう思う?」と聞くのではなく、「このデザインにどのような印象をもったか」を聞いてください。
その印象が、自分が意図したものと近いかどうかで自分のデザインが正しく作れているか判断材料の1つになります。
逆に自分が意図したデザインとは全然違う印象の答えが返ってきたのなら、どこか間違いがあることになります。
その場合は、相手に「なぜそう思ったのか」理由を深掘りして聞いていくと、間違いがある場所を特定していくことができます。
そしてもし可能なのであれば、ぜひプロのデザイナーに添削してもらうといいでしょう。
必ず多くの気づきを与えてもらるはずです。
⑥修正して完成
人に見てもらうことで得られた気づきをデザインに反映させて、いったん完成です。
おめでとうございます。
慣れないうちはすごい時間がかかるかもしれません。
こんな七面倒なことやってられっか、と思うかもしれません。
ですが、これらのプロセスを経ることで着実に「良いデザイン」が作れるようになっていきます。
適当にパパッと作ったデザインと、このプロセスを踏んだデザインのどちらが確率的に目的を果たせるデザインになると思いますかね?
デザインスキルを磨く方法
デザインスキルを磨く方法は、もう既にほとんどお話してます。
上述の制作手順を繰り返せば、自ずとデザインスキルは磨かれていきます。
そして誰かプロのデザイナーに添削してもらえれば尚良し、って感じです。
結局は基本を抑えることと、トライ&エラーの繰り返しが大事。
基本をおさえることはデザインの目的を理解、リサーチ、参考デザインの選定です。
そして後は実践、修正、実践、修正…。
非デザイナーがとりあえずWebデザインに着手するという入門的な位置付けであれば、この方法でデザインスキルは上達するはずです。
さらに深くデザインスキルを磨いていくのであれば、Webデザインの基礎理論を学ぶ必要がありますが、この記事では割愛しときます。
ここではちょっと伝えきれないのでw
まとめ
さて、今回のまとめです。
この記事では、非デザイナーがとりあえずWebデザイン制作ができるようになるための考え方と方法について解説してきました。
そもそもデザインは「センス」という感覚的なものではなく、科学的なアプローチで磨かれるスキルであること。
個人的な感性に頼らず、既にあるモノから情報を集めて理論ベースで組み立てていくのがデザインであること。
非デザイナーの一般的な認知とは異なる内容だったかもしれないですが、デザインとはそういうモノです。
この記事があなたのWebデザインスキル向上の一助になれば幸いです。
では!